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認知症との向き合い方の取説(知っておきたいこと・接し方・相談先)
認知症になっても、できることややりたいことはたくさんあります。症状が起きる仕組み、本人の気持ちに寄り添う接し方、「できる」「やりたい」を見つけるシートの使い方、困ったときの相談先を、本人にも家族にも読みやすくまとめました。
- 対象者
- 認知症について、怖い・不安という印象が強い人 ほか
- 難易度
- 初心者向け
- 所要時間
- 読むだけなら15分ほど(できる・やりたいシートの記入は30分ほど)
- 最終確認
- 2026年10月11日
これは何の取説?
認知症を「何もわからなくなる病気」とだけ捉えず、「できることはいろいろある」という見方から整理した取説です。症状が起きる仕組み、本人の気持ちに寄り添う接し方、できること・やりたいことを見つける方法、困ったときの相談先を順にまとめました。診断や治療は医師が行うため、ここでの内容は理解と対応の目安として読んでください。
こんな人向け
- 認知症について、怖い・不安という印象が強い人
- 家族や身近な人の様子が気になり始めた人、接し方に迷っている人
- 認知症と診断された本人で、これからの暮らし方を考えたい人
- 将来に向けて、今から備えておきたい人
まず知っておくこと
認知症の原因となる病気は多く、症状の出方や進み方には個人差があります。ここに書いたことは、すべての人に当てはまるものではありません。
診断や治療は医師が行います。物忘れや気になる変化が続くとき、持病や服薬がある人、急な変化や強い不調があるときは、自己判断せず、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。本人も家族も、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
必要なもの
- 本人の「好きなこと」「やりたいこと」を話せる、ゆったりした時間
- 紙とペン(できる・やりたいことを書き出すシート代わり)
- 日ごろの様子を書き留めるメモ
- お住まいの市区町村や都道府県の相談窓口の連絡先
- かかりつけ医の連絡先
手順
まず「認知症になってもできることはいろいろある」と知る
番組では、認知症のある人たちが集まって話す座談会が紹介されていました。症状もできることも人によってさまざまで、診断されたころは落ち込んでいても、同じ経験をもつ仲間と出会ったり、周りに自分の状態を伝えたりするうちに、前向きになれたという声がありました。
認知症になっても自分自身が変わるわけではないので、怖がりすぎなくてよい、というメッセージも伝えられていました。強い不安やマイナスのイメージがあると、必要な支援につながりにくくなり、孤立しやすくなることもあるそうです。まずは見方をやわらかくすることから始めます。「新しい認知症観」という考え方を知る
「認知症になっても、できること・やりたいことがあり、自分らしく生きることができる」という考え方は、新しい認知症観と呼ばれています。番組では、この考え方に基づいた法律が施行され、さまざまな取り組みが始まっていると紹介されていました。
身近な例として、銭湯のボトルに「からだ」「あたま」と大きく書いたり、郵便局のマークを大きく塗ったりと、認知症のある人の声から町が少しずつ変わっている様子がありました。本人の困りごとを聞くことが、暮らしやすさにつながります。症状が出る仕組みと、病気の種類を知る
認知症は、さまざまな原因で脳の働きに変化が起き、生活に支障が出ている状態のことです。原因となる病気は70以上あるといわれています。代表的なものとして、物忘れが目立つ病気、脳の血管のトラブルによる病気、幻視が目立つ病気が紹介されていました。
脳では神経細胞が情報を伝え合っていますが、ダメージを受けた場所によって症状が変わります。裏を返せば、ダメージの少ない場所の働きは比較的保たれている、という説明でした。手の震えや歩きにくさが先に表れ、認知症だと気づかず受診が遅れることもあるそうです。気になる変化があれば、早めに医師に相談します。進み方の目安を知り、楽しいことを続ける
番組では、記憶の症状が中心の病気を例に、進み方が紹介されていました。認知症の前の段階(軽度認知障害)では生活に大きな支障はなく、そこから軽度、中等度、重度と進んでいきます。進むスピードには個人差があります。軽度では約束を忘れたり同じ話を繰り返したり、中等度では一人での外出が難しくなったり、重度では入浴やトイレが苦手になったり言葉が少なくなったりすることがある、という説明でした。
専門家は、認知症になっても、楽しい・うれしい・悲しいといった感情は残ると話していました。「まだあれもできる、これもできる」と本人が思えることが、暮らしを豊かにするそうです。楽しいことは、できる形で続けます。怒りっぽさや外出には「理由があるかも」と考える
認知症の症状は、脳の機能低下で起きる「中核症状」(物忘れ、段取りの難しさ、時間や場所がわかりにくくなるなど)と、その結果として心や行動に表れる「周辺症状」(怒りっぽさ、不安、外出して戻れない、思い込みなど)に分けられます。
周辺症状には、その人なりの理由があるといわれています。たとえば、視野が狭く感じる、色の違いがわかりにくい、距離感がつかみにくいといった見え方の変化から、電車とホームのすき間が深い穴のように見えたり、車を降りるときに地面までの距離がわからず怖くなったりすることがあるそうです。そこで急に腕をつかんで「早く」とせかされれば、誰でも嫌な気持ちになります。怒りっぽさのすべてが病気のせいとは限りません。
外出も、家族のために料理をしたい、買い物に行きたいという思いから始まることがあり、「徘徊」と決めつけない見方が紹介されていました。お金をしまい込んで探せなくなり、身近な人を疑ってしまう場合も、家族に残したいという気持ちが背景にあることがあるそうです。接するときは、気持ちに寄り添い、年長者として敬う
番組では、症状が進んでも自尊心は残るため、子ども扱いはせず、年長者であることを踏まえて接することが大切だと紹介されていました。
具体的には、次のような心がけが考えられます。- 急がせず、ゆっくり待つ
- 正面から、目に入る位置で声をかける
- 急に腕や体に触れない
- 疑われたときは、身近で頼られている証だと受け止め、否定せずに気持ちを聞く
- 行動の理由を探り、その人なりの思いに目を向ける
家族だけで抱え込まず、つらいときは相談窓口を頼ってください。
「できる」「やりたい」を見つける(わたしのトリセツシート)
生き生きと暮らすには、本人が「できること」「やりたいこと」を知ることが大切だと紹介されていました。番組では、生活の行為や趣味を並べた一覧に、今「している」ものと「好き・したい」ものに印をつける方法が示されていました。紙とペンで同じものを作って試せます。
進め方のポイントです。- 本人が書いても、周りの人が聞き取って書いても構いません。好きかどうかを尋ねると、気持ちが表れやすくなります
- 「している」に印がなくても「好き・したい」に印があれば、どんな工夫でできるかを考えます。たとえば庭仕事が難しくなっても、花を選んで買い、花瓶に生けることならできる、といった具合です
- 本人は「している」と思っていても、周りの見方が違う項目は、備考欄に書いておきます。たたんだ洗濯物を1か所のカゴにまとめる、といった小さな工夫が助けになります
「できなくなったこと」より「できること」に目を向けるのがコツです。
運動と人との交流を、無理なく続ける
番組では、高齢者を追った研究で、犬を飼っている人は認知症になるリスクが低かったという結果が紹介されていました。ただし、犬を飼うことにこだわる必要はないとされています。散歩による運動や、人との会話が増えることがカギで、一定の歩数や会話がある人は認知機能が保たれやすいという研究も紹介されていました。
運動や会話の量に決まった正解はありません。散歩に出る、近所の人とあいさつする、仲間と集まるなど、体調に合わせて無理のない形で続けます。体を動かすときは、痛みや息苦しさが出たらすぐ中止し、不安があれば医師に相談してください。高齢の人が犬を迎える場合は、世話ができなくなったときの引き取り手も考えておくよう注意されていました。困ったときの相談先を知っておく
相談は、本人でも周りの人でも構いません。「認知症かも」と思ったら、気軽に相談してみてください。
- 生活全般の相談:地域包括支援センター。認知症カフェや当事者同士の集まりの紹介、医療や福祉サービスの紹介、介護保険の相談・申請の受付などを行っています。問い合わせは、お住まいの市区町村へ
- 医療関係の相談:認知症疾患医療センター。医療相談や診察、治療、地域の関係機関との連携を行う、自治体が指定した医療機関です。問い合わせは、お住まいの都道府県や政令指定都市へ
- 65歳未満で発症したとき:若年性認知症コールセンター。生活や就労支援の情報提供、各自治体の窓口の紹介をしています。番組資料に載っていた電話番号は0800-100-2707です。受付時間は変わることがあるので、事前に確認してください
かかりつけ医に相談して、専門の医療機関を紹介してもらう方法もあります。
注意点
- 診断や治療は医師が行う。この記事は理解の目安であり、診断の代わりにはならない
- 物忘れや気になる変化が続くとき、急な変化や強い不調があるときは、かかりつけ医や地域包括支援センターに早めに相談する
- 持病や服薬がある人は、生活や運動を変える前に医師に相談する
- 体を動かして痛みや息苦しさが出たら、すぐに中止する
- 本人に「できない」と決めつけたり、子ども扱いしたりしない。本人の気持ちと自尊心を大切にする
- 家族だけで抱え込まない。つらいときは相談窓口や周りに頼ってよい
- 犬を迎えるときは、世話ができなくなった場合の引き取り手を考えておく
コツ
- 本人の好きなことを、まず聞いてみる。答えが出にくいときは、いくつか選択肢を見せると話しやすい
- 「できなくなったこと」ではなく「できること」を書き出して、家族で共有する
- 道具や置き場所を工夫する(洗濯物のカゴを1か所にする、物の名前を大きく書くなど)
- 日ごろの様子や困りごとをメモしておくと、相談や受診のときに伝えやすい
- 同じ経験をもつ人が集まる場や認知症カフェは、地域包括支援センターで教えてもらえる
- 散歩や会話の時間を、毎日の予定に少しだけ入れる
よくある質問
Q認知症になったら、何もわからなくなりますか?
番組では、人によって症状はさまざまで、できることもいろいろあると紹介されていました。ダメージの少ない脳の部分の働きは比較的保たれており、楽しい・うれしいといった感情も残るといわれています。「まだできること」に目を向けてみましょう。
Q家族が急に怒りっぽくなりました。どう接したらよいですか?
見え方の変化やとまどいなど、その人なりの理由があることもあると紹介されていました。急がせたり、体に急に触れたりせず、ゆっくり気持ちを聞いてみましょう。ただ、体調の変化が原因のこともあるため、続くときや様子が急に変わったときは、かかりつけ医に相談してください。
Q認知症かもしれないと思ったとき、まずどこに相談すればよいですか?
生活全般のことは、お住まいの市区町村にある地域包括支援センターが相談先の一つです。医療のことは、かかりつけ医や、都道府県などが指定する認知症疾患医療センターがあります。65歳未満の場合は、若年性認知症コールセンターもあります。本人でも家族でも、気軽に相談して大丈夫です。
まとめ
「認知症になってもできることはいろいろあると知る → 症状の仕組みと、行動の理由に目を向ける → 子ども扱いせず、気持ちに寄り添って接する → 「できる」「やりたい」を書き出して工夫する → 運動と人との交流を無理なく続ける → 困ったら地域包括支援センターやかかりつけ医に相談する」。ひとりで抱え込まず、周りの力を借りながら、できることから始めましょう。
参考リンク
この取説はどうでしたか?
みんなの取説 torisetsu.jp / https://torisetsu.jp/manual/dementia-guide/
作成日:2026年10月26日 ※内容は更新されることがあります。最新版は上のURLで確認できます。一般的な情報であり、医療・法律・お金などの判断は専門家や公式窓口にご相談ください。
この取説への質問
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まだ質問はありません。