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認知症の人への接し方の取説(否定しない・短く具体的に・環境・介護者の休み方)

認知症の人と暮らす家族や周りの人のために、否定しない対応、短く具体的な声かけ、環境づくり、介護者自身の休み方、相談先をまとめました。

対象者
認知症の家族と同居している、または介護をしている人 ほか
難易度
普通
所要時間
日々の関わりの中で少しずつ(まず1週間、声かけを変えて試す)
最終確認
2026年10月13日
取説編集部

これは何の取説?

認知症の人への声かけや関わり方、暮らしの環境づくり、介護する人自身の休み方、相談先を、順番にまとめた取説です。うまくいかない日があっても自分を責めないための考え方も含めています。

こんな人向け

  • 認知症の家族と同居している、または介護をしている人
  • 近所や職場で、認知症の人と接する機会がある人
  • 同じ話のくり返しや、物忘れへの対応に疲れている人
  • 介護が始まったばかりで、何から始めればよいか分からない人

まず知っておくこと

認知症の人は、記憶や判断の力が弱くなっても、感情や自尊心は保たれていることが多いといわれます。叱られたり否定されたりした嫌な気持ちが残り、不安や混乱が強まることがあります。
現れ方は人によって大きく違うため、この記事の方法はあくまで一般的な目安です。うまくいかなくても、あなたのせいではありません。
この記事は診断や医療の内容を扱うものではありません。体調の変化や心配なことは、かかりつけ医などに相談してください。介護する人自身の体調が悪いときも、医師に相談してください。

必要なもの

  • 大きめの字のカレンダー、時計
  • 予定や連絡を書くホワイトボードやメモ
  • 家族や親族の連絡先、役割分担のメモ
  • 地域包括支援センターの連絡先
  • 介護を記録するノート(困ったこと、うまくいった声かけ)

手順

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  1. まず「困っているのは本人」と考える

    同じことをくり返す、物を探し続ける、帰りたがるといった行動は、本人なりの不安や理由があって起きていることが多いといわれます。
    「わざとではない」「本人がいちばん戸惑っている」と受け止めると、対応のゆとりが生まれます。

  2. 否定・訂正・叱責をしない

    間違いを正したり、「さっきも言ったでしょう」と責めたりすると、本人は傷つき、不安や怒りが強くなることがあります。
    事実と違うことを言っても、まずは「そうなんですね」「心配ですね」と気持ちを受け止めます。そのうえで、話題を変えたり、お茶を勧めたりして落ち着けるようにします。命や安全に関わるときは、穏やかに、でもはっきり伝えます。

  3. 目線を合わせ、前から声をかける

    後ろや上から急に声をかけると驚かせてしまいます。

    • 正面から、本人の視界に入ってから声をかける
    • かがんで目線の高さを合わせる
    • 名前を呼び、笑顔で、穏やかな声で話す

    急かさず、ゆっくり待つ姿勢が安心につながります。

  4. 短く、具体的に、ひとつずつ伝える

    長い説明や質問は理解しにくくなります。

    • 一度にひとつのことだけ伝える
    • 「ご飯にしましょう」「トイレに行きましょう」と短く言う
    • 「どうする?」ではなく「お茶とコーヒーはどちらがいいですか」と選びやすくする
    • 伝わらないときは、言い換えたり、身振りや実物を見せたりする
  5. 同じ話にはその都度つきあう

    同じ質問をくり返されても、本人にとっては初めての疑問であることが多いです。毎回、初めて聞かれたつもりで短く答えます。
    何度も聞かれることが不安のサインのときは、答えをメモにして見える場所に貼る、一緒に何かをして気をそらす、といった工夫もあります。

  6. 安心できる環境を整える

    環境が整うと、混乱や転倒が減りやすくなります。

    • 物の置き場所を決め、動かさない
    • 段差や床の物をなくし、明るさを保つ
    • 大きな字のカレンダーや時計で、日付や時間が分かるようにする
    • テレビの音や人の出入りなど、刺激を減らす
    • 生活のリズムを一定に保つ

    住み慣れた場所は安心につながるため、大きな模様替えや引っ越しは慎重に考えます。

  7. 「できること」を奪わず、役割を残す

    なんでも代わりにやってしまうと、本人の自信や意欲が下がることがあります。洗濯物をたたむ、食器を拭く、野菜を切るなど、できる範囲で役割を残します。
    手伝うときは、できない部分だけをさりげなく補います。うまくできたら「助かりました」と感謝を伝えます。

  8. 介護する人自身が休む

    介護は長く続くことがあります。ひとりで抱え込むと、心身の疲れがたまり、本人への対応にも余裕がなくなります。

    • 家族で役割を分け、交代できる人を作る
    • デイサービスやショートステイなど、介護サービスを活用する
    • 自分の睡眠、食事、通院を後回しにしない
    • 趣味や友人との時間を、意識して確保する
    • 同じ立場の家族が集まる会(家族会)に参加する

    「休むことは悪いことではなく、介護を続けるために必要なこと」と考えます。

  9. 相談先につなぐ

    困ったときは、早めに相談します。

    • 地域包括支援センター:高齢者の暮らしや介護の総合相談窓口です。市区町村ごとに設置されており、介護保険の手続きやサービスの紹介、家族の悩みの相談ができます。お住まいの市区町村の窓口や、自治体のホームページで場所を確認できます。
    • かかりつけ医、市区町村の介護保険窓口
    • ケアマネジャー(介護サービスを利用している場合)
    • 認知症の人と家族の会など、当事者や家族の団体

    相談は無料の場合が多く、深刻になる前でも利用できます。

注意点

  • この記事は一般的な情報であり、診断や医療に関するものではない。体調の変化や心配なことは、かかりつけ医などに相談する
  • 本人の安全(転倒、火の元、外出して戻れないこと)が心配なときは、ひとりで抱えず、地域包括支援センターなどにすぐ相談する
  • 暴力や強い暴言がある、介護でつらくて自分や相手を傷つけそうなときは、ひとりで耐えず、早急に相談窓口や医療機関に連絡する。差し迫っているときは119番または110番に連絡する
  • 介護者の疲れや気分の落ち込みが続くときは、介護者自身も医師に相談する
  • 声かけが一度でうまくいかなくても、自分を責めない
  • 本人の尊厳を守り、人前で失敗を指摘したり、子ども扱いしたりしない

コツ

  • うまくいった声かけは、ノートに残して家族で共有する
  • 夕方に不安が強まる人もいるため、その時間帯は静かに過ごせるようにする
  • 本人が好きな音楽や写真、昔の話は、気持ちを落ち着ける助けになることがある
  • 外に出るときは、連絡先を書いたものを持ってもらうなど、あらかじめ備えておく
  • 近所の人にも事情を伝えておくと、助けてもらいやすい

よくある質問

Q間違いを正さずにいてよいのですか?
A

日常の小さな間違いは、正すより気持ちを受け止めるほうが落ち着くことが多いです。ただし、安全やお金、医療に関わることは、穏やかに、本人が理解しやすい形で伝えたり、周囲で対応したりします。

Q何度も同じことを聞かれて、つい強く言ってしまいます。
A

疲れていると誰でもそうなります。自分を責めすぎず、まず少し距離を置いて休みましょう。答えを紙に書いて見える場所に置く方法や、介護サービスを使って休む方法もあります。

Qどこに相談すればよいですか?
A

まずは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してください。介護保険やサービスの案内、家族の悩みの相談ができます。場所は市区町村の窓口やホームページで確認できます。

Q介護で自分が限界だと感じます。
A

ひとりで抱えないでください。地域包括支援センターやケアマネジャーに、介護サービスや休む方法を相談できます。眠れない、気分の落ち込みが続くなど、自分の体調も心配なときは、医師にも相談してください。

まとめ

「困っているのは本人と考える → 否定せず気持ちを受け止める → 短く具体的に伝える → 環境を整える → できることを残す → 介護する人も休む → 地域包括支援センターに早めに相談」。うまくいかない日があっても、あなたのせいではありません。

参考リンク

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みんなの取説 torisetsu.jp / https://torisetsu.jp/manual/dementia-communication-guide/
作成日:2026年10月26日 ※内容は更新されることがあります。最新版は上のURLで確認できます。一般的な情報であり、医療・法律・お金などの判断は専門家や公式窓口にご相談ください。

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